蘇寧グループという中国企業がインテルを買収したとの報道がありましたが、一体蘇寧グループとはどんな会社なのでしょう?気になったのでちょっと簡単に調べてみました。
インテルの買収事情
まず、報道の内容としては、蘇寧グループが日本代表でもある長友選手が所属するインテル(イタリア・ミラノ)の株式約70%を取得し、約330億円で買収したとのことです。
日経新聞の報道によると、現オーナーのエリック・トヒル氏(インドネシア)は今回の買収後も株式を約30%保有するらしいのですが、インテル元名誉会長のマッシモ・モラッティ氏は約30%の株式を全て売却するとのことです。
そもそも、なぜインテルが買収されたのか、背景には様々な事情があると推測できますが、こちらの記事でも触れているとおり、近年イタリアサッカーは人気の低迷から多くのクラブが財政難に陥っており、今回のインテルは2013年にも身売りをした経緯を考えますと、やはり財政面で苦しい部分はあったのかなと思いますし、現オーナーのトヒル氏の意向かもしれません。
蘇寧グループとしては世界的に人気のあるチームを買収することで自社ブランドの向上と知名度のアップという目的でしょう。
時価総額約1.4兆円の中国を代表する家電量販店
さて、本題の蘇寧グループですが1996年に設立された中国江蘇省を拠点とする家電量販店で現在の時価総額はおよそ1.4兆円程(※注)になります。中国の大手家電量販店は、国美電器と蘇寧グループの2社が独占状態にあるようで、蘇寧グループは中国で約2700店を出店している中国最大手の家電量販とのことです。日本で言うヤマダ電機やビックカメラ、ヨドバシといった感じの企業と想像していただけるとわかりやすいかもですね。2009年には日本企業のラオックスを買収し現在でもラオックスの親会社です。
2015年にはアリババと全面的戦略提携
蘇寧グループは、2015年にあの有名なジャック・マー率いるアリババグループと戦略提携をし、アリババグループから約5700億円(当時)の出資を受けています。アリババグループと聞くとピンと来る方もいるかもしれませんが、ACミランが現在も買収交渉を続けている相手がアリババグループです。このアリババとの戦略的提携も今回のインテル買収に影響しているのではないでしょうか。
実は既にサッカークラブを持っている
ご存知の方もおられるかもしれませんが、蘇寧グループは既にサッカークラブを保有しております。中国スーパーリーグの江蘇蘇寧です。中国でも強豪クラブの一つでAFCチャンピオンズリーグにも出場していますが、このクラブは今年チェルシーからブラジル代表のラミレスを移籍金36億円で引き抜いたことでも有名です。中国のクラブではやはりスコラーリ率いる広州恒大が有名ですが、このクラブもお金の力で今後、どんどん引き抜いていくかもしれませんね。
今回のインテルの買収劇、世界ではまだまだ無名な中国企業が認知度を世界的に広げたいという側面と、財政面で苦難が続くイタリアのクラブ側、双方の要望がうまく合致した買収といえるでしょう。国の政策として2050年までにサッカー強国を目指すという中国が、財政難に苦しむ欧州クラブを買収するケースは、現在交渉が続けられているACミランを始めとし今後も結構起こるのではないかと思います。日本の企業も頑張ってほしいですね。