スポーツ界を席巻するDAZNの運営会社はどこ?その資金源は?

 ヨーロッパの主要リーグをはじめ、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグ、さらにはJリーグの放映権も独占的に獲得し、世界のサッカー界、またスポーツ界を席巻しているサブスクリプション型(月額制)のストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」。CMでもよく放送されているのでスポーツ好きの方はもちろんのことスポーツ中継にあまり興味ない方でも名前だけは聞いたことあるのではないでしょうか?

 そこで、今回はDAZNの運営会社はどんな会社なのか、そしてどうしてこんなにお金を持っているのか等、疑問を持っている方も多いと思うので、現時点(2019年月現在)で公開されている情報をもとにDAZNの運営企業の実態を少し掘り下げてまとめてみたいと思います。

 なお、DAZNはサッカーに限らず野球やテニス、F1など様々なスポーツのストリーミングをしていますが、僕はサッカー以外の野球やテニスなどに精通しているわけではないので、あくまで一サッカーファンの目線からDAZNという会社を調べてみたいと思います。また、僕個人の私的な偏見も入っていますのでその点ご了承いただければと思います。

Performグループという巨大グループに属する企業

 DAZNがJリーグの放映権を獲得した2017年、僕ら日本人にとってはそもそも聞きなれないDAZNという企業の参入にまず驚き、さらに10年間という長期契約かつ総額2,100億円という巨額な契約金に驚いた方も多いかと思います。

 なぜDAZNの運営会社は、正直他国(特にヨーロッパ)のリーグに比べれば人気も実力も見劣りする日本のJリーグにこんなにも巨額なお金を落とすことができるのか?その資金源はどこからきているのか?DAZNに対して疑念を抱く方の多くはこのポイントが一番気になっているのではないでしょうか?

 その理由を紐解くためには、まずDAZNという会社は独立した一企業ではないということを知っておく必要があります。日本ではDAZNという名前を全面に出して宣伝をしているので、DAZNという独立した企業だというイメージがあるかもしれませんが、DAZNの運営会社はPerformグループというイギリスに拠点を置くスポーツメディアの持株会社に属する一企業になります。

Performグループとは?

 では、このPerformグループとは一体どんなグループなのか、それからどのくらいの規模の組織なのか気になるところですが、それはこのグループに属する代表的な企業の一覧を見れば分かりやすいかと思います。

Performグループに属する企業一覧

  • DAZN
  • Goal.com
  • Opta Sport
  • Sporting News
  • Watch&Bet
  • Running Ball
  • OminiSport

 ざっと挙げるだけでこれだけの企業があります。DAZNを筆頭に、世界最大規模のサッカーメディアである「Goal.com」、サッカーだけなく様々なスポーツの詳細なスタッツデータを収集、解析する世界最大のスポーツデータ企業の「Opta Sport」、1886年創刊の長い歴史を持つアメリカのスポーツメディア「Sporting News」等、世界のスポーツ界に影響力を持つ企業が名を連ねています。このことからもDAZNの運営会社であるPerformグループがスポーツ界における巨大コングロマリットであることが分かるかと思います。

DAZNはなんでこんなにお金持ってるの?

 このように、DAZNという企業はPerformグループという巨大なスポーツメディアグループに属しているということで、ある程度潤沢な資金を持っているんだなということが分かるかと思います。

 しかし、Jリーグだけでも10年間で2,100億円、サッカー界でもっとも放映権料が高いと言われるイングランドのプレミアリーグに関しては3年間の放映権料が1兆円を超える(DAZNとの契約金は不明)とも言われている巨額が放映料を、Goal.comやOptaのような企業が名を連ねているからと言って、立て続けに独占的な契約を結ぶほど余裕のある企業なのでしょうか?また、契約を結ぶリーグ側もなぜ起業してまもないスタートアップ、ましてやOTT(Over The Topの略)という新しい事業モデルであるDAZNと独占的に契約するのでしょうか?

 これにはDAZNがJリーグの放映権を爆買いしてからこれまで、日本でも様々な説が飛び交いました。そんな様々な憶測からよく言われている説の1つに「DAZNの実態はギャンブル企業だ」という説があります。

Watch&Betとは?

 上記のPerformグループに属する企業一覧の中に「Watch&Bet」とありますが、このサービスはその名の通り、BET365やBET3000等のスポーツベッティングサービスにライブ映像などのストリーミングサービスを提供しているサービスになります。

 スポーツベッティングと聞いてもピンとこない方も多いかもしれませんが、平たく言うとスポーツギャンブルになります。スポーツギャンブルは日本ではTOTOなど限定的にしか認められていませんが、スポーツベッティングの本家とも言われるイギリスでは合法で大々的に認められており大きなお金が動くことで知られています。先ほどプレミアリーグの放映権料はサッカーの世界では一番高いと言いましたが、その一番の理由はこのスポーツベッティングにあると言われています。

 ギャンブルが好きの方なら分かると思いますが、人間は本質的にギャンブルが大好きです。それ故、とても大きなお金が動きます。また、ギャンブルは胴元が確実に儲かるような仕組みになっているのでスポーツベッティングの運営会社は何もしなくてもチャリンチャリンとお金が入ってくるわけです。そして、そのスポーツベッティングサービス企業に映像を提供する対価としてDAZNの運営会社であるPerformグループは大きな収益を得ていると言われています。

 これが巷でよく言われている、DAZNの本当の資金源説になります。確かにスポーツギャンブルという潤沢な資金源が大元にあると考えると、ここ数年のDAZNの席巻ぶりも納得のいくところではありますね。

PerformグループからDAZNグループへ

 しかし、つい先日(2019年4月)、Performグループに大きな変革がありました。それはPerformグループからDAZNグループへの再編です。まず、Performという名称をDAZNという名称に統一するということが発表されました。そして、その再編に伴いPerformグループはDAZNとPerformコンテンツという2つのブランドに切り分け、さらにPerformコンテンツをVista Equity Partners(以下、Vista)という投資会社に売却することで合意しました。実質的には完全売却というわけではなく、Vistaの投資のもと、スポーツAIのリーディングカンパニーである「STATS」とPerformの合弁会社に売却するようです。このディールは2019年の後半に完了するということもあり、まだ詳細は確定していませんが、下記のサービス等が売却される見通しになっています。

売却するサービス

  • Opta Sport
  • Watch&Bet
  • Running Ball

 この再編により、DAZNとWatch&Betは表向きには別会社ということになり、「DAZN=ギャンブル」という噂を否定するかたちになりました。しかし、売却先がSTATSとの合弁会社ということもあり、Performのリソースも残るようでDAZNと完全に切り離れたわけではないようですし、今後も財政的な面も含めて協力していくのいではないかと思います。

 まあ、憶測ですがこの再編の意図することは、スポーツAI企業であるSTATSと親和性の高いOptaのようなデータ解析企業を組み合わせることでスポーツデータ解析市場でより強固な地盤を固めることに加え、表向きにDAZNとWatch&Betを切り離すことで、ブランディングの強化とイメージの向上を図る意図も含まれているのかもしれません。

そもそもオーナーが投資会社

 今回の再編によって、巷でささやかれていたDAZNの運営会社の資金源はギャンブル企業にあるという説は信憑性に欠けるかたちになりましたが、そもそも個人的にはDAZNの資金源がスポーツベッティングのような会社にあるとは思っていません。

 そもそも、PerformグループのひとつのサービスでしかなかったWatch&Betはあくまでスポーツベッティング企業にストリーミング映像を提供しているだけで、厳密にはスポーツベッティング企業ではありません。もちろんそこからの収益は大きかったと思いますが、DAZNの度重なる権利買いをできるほど莫大な資金源の裏付けには少し乏しいように思います。

 では、本当の資金源とはどこにあるのか?

 それは簡単なことで、DAZNグループ(旧Performグループ)の筆頭株主を見れば分かります。DAZNの筆頭株主はアクセスインダストリーズという投資会社になります。このアクセスインダストリーズという投資会社はDAZNの他にもワーナーミュージックグループなどを傘下に持ち、メディア事業以外にも石油などの天然資源や化学製品など幅広い事業を有する投資企業になります。

 そして、このアクセスインダストリーズの会長であるレオナルド・ブラバトニックはアメリカの長者番付にも載るほどの大富豪であると知られています。

 アクセスインダストリーズは2014年にPerformグループの筆頭株主になり、その年の暮れには持ち株比率を大幅に引き上げ80%近く保有し、言わばPerformグループはアクセスインダストリーズの完全子会社と言っても過言でない関係になりました。

 そして、DAZNがローンチされたのは2016年なので、逆算するとアクセスインダストリーズが大株主になってから一年足らずでDAZNが発足したわけです。こう考えると、DAZNのここ数年の快進撃やメディア戦略は大元を辿れば、このアクセスインダストリーズに行き着くわけで、DAZNの実質的な運営会社はこのアクセスインダストリーズであり、その潤沢な資金源もワーナーミュージックグループをも傘下に収める投資会社ということであれば誰もが納得するのではないでしょうか?

今後のDAZNの動向と戦略

 これまでPerformグループの中の一企業だったDAZNですが、今回の再編によりDAZNというブランド名に統一され、Performコンテンツと呼ばれるOptaやWatch&Betなどは別会社に切り離されました。

 こちらのアクセスインダストリーズの公式サイトでも言及されていますが、DAZNは今後も様々なスポーツOTTに関して積極的に投資していくと述べています。つい先日、日本代表も参戦するコパ・アメリカもDAZNが放映するとニュースになっていましたが、Performコンテンツの売却の純収入もDAZNに全て投資するようなので、今後もDAZNの勢いは止まることなく快進撃が続くのではないでしょうか?

 これまではスカパーがサッカー中継のメインでしたが、DAZNの参戦によりその勢力図は一気に塗り替えられました。Jリーグは少なくとも2027年まではDAZNでしか見れないわけですからね。また、DAZNのおかげでデバイスさえあれば場所を選ばずどこでもリアルタイムでライブ放送を見れるというスタイルがユーザーの間で定着しつつあるので、時間の経過と共にDAZNの一強時代は強まっていくのではないかと思います。

 ブランド再編に伴い、DAZN+という新たなコンセプトも発表され、新たなプラットフォームの構築に関しても公式サイトの中で言及されているので、新たな動きを含めてDAZNの動向にはこれからも注目していく必要があるでしょう。

 てことで、今回はここまで!また!

著者プロフィール

Takanori Hashi

東京、奄美大島、宮崎の3拠点生活をしたい30代のおじさん。仕事の傍、子育て&趣味に精を出す一児のパパ。普段はプログラム書いたりデザインしたりWeb関連のお仕事をしています。noteとInstagramも始めました!どちらもフォロワーさんが少な過ぎて悲しい状況なのでフォローしてくれたら嬉しいです!

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